中国企業家の自画像

中国企業家の自画像

作者:稲盛哲学実践家关彬(関彬)
引用元:『稲盛哲学実践家のブログ』
URL:http://blog.sina.com.cn/s/blog_b0592e5f0102vtel.html
日時: 2016年4月10日

張心怡 翻訳
松村淳 構成

作者プロフィール:关彬(関彬)

中国稲盛和夫哲学重要な推進者、自由学者。中国企業研修の分野における稲盛哲学の提唱者と実践者グローバル・フォーチュン500で20年を越える上級管理層の勤務歴を有する。清華大、北京大、東北大、石油大など大学の特任教授を歴任。『商業評論』、『中人網』など雑誌のゴールデン・コラムニスト。長期的に稲盛哲学の研究に取り組み、『ドラッカーから稲盛和夫』などの著作を有している。なお、転載元ブログの訪問者数は12万人を超えている。

 企業家と接すれば接するほど、企業家に対して多少考えが出た。もし肖像画で彼らの様子を描くなら、中国の企業家は世界でもっともユニークな人だと言えるだろう。なぜかというと、改革開放された30年以来、代々の企業家が努力を積み重ねた結果、中国経済は素早く世界二番目の経済大国に飛躍した。これは否定できない事実で、認めるべき成就だ。それで、彼らのユニークな特徴はどう描けばいいのか?

 

一、中国企業家は、100メートル走のスピードで走っている

中国人企業家は、皆一人一人「待ったなし」の姿勢で、各自の分野で努力を惜しまず、頑張っている。しかし、もし今から、皆が100メートル走のスピード、プラス職人の忍耐力で行くなら、つまり稲盛和夫さんのように、「100メートル走のスピードでマラソンを駆け抜ける」。そうしたら、完璧だ。

 

二、中国の企業家は、「孤胆英雄」(一人で多くの敵を相手に戦った英雄)だ

中国の企業家は、自分のキャリアでは、勇敢な冒険者たちだ。中国の風格がある市場と経済環境の下で、次々と経済的な奇跡を作り出した。彼らは孤独的で、心を落ち着かせて持続的に考える時間が少ない人たち;彼らはでこぼこな道に怖がらず、来た道をもう一度戻ることを考えていない。もし中国人の企業家たちが今から心を落ち着かせて、「致良知」を核心とする商業の原理原則を考え、実践できれば、将来向かうところには敵なしだ。

 

三、中国の企業家は、人間性と人間関係の間に躊躇っている

中国独特の「儒釈道」(儒家、仏教、道家)の文化は、中国社会における思潮の核心である。企業家たちの社会行為には多少、「儒釈道」の烙印が押されている。伝統文化(儒釈道)の割合が高ければ高いほど、手足が縛られるようになる。つまり人間関係のよしみが占めた割合が高ければ、企業はよしみの温床になる。ビジネスの父親と称された白圭氏(中国戦国時代の経営理論の元祖)は、「臨機応変ができるための知恵、果敢決断ができるための勇気、取捨選択ができるための仁徳、守りたいのを守れるための強健」、その四つを提唱したが、あまり後世の人に受け継がれなかった。もし白圭さんの言った通りにやるなら、人間性と人間関係のよしみの間にためらうことがない。この四つの標準を実践している企業家と言うなら、「奮闘者を本にする」(会社の福祉の仕組みは努力次第だというようだ)と提唱した任正非氏だ。

 

四、中国の企業家は、ビジネス界で勇猛に戦う戦士だ

何でそのような戦士が多いのか?それは中国の企業家は戦うのが得意で、防御をすることが苦手なのだ。または、お城を攻め込むのは達成感があり、防衛はつまらないということだ。実は、お城を攻め込むのが、うまく行かない場合、黒熊がトウモロコシをもぎ取るように、新しいのを手に入れたとたん、前のものすぐ捨てて、結局何も得られないのだ。攻めるのは容易だが、守るのが難しい。なので、肝心は守ることにある。そうしたら、心を落ち着かせて考えるのが大事。それも未来への準備で、未来で力が爆発できるように、エネルギーを蓄積し、規則をまとめ、行方を探る、ということだ。

 

五、中国の企業家は、ナショナル・アイデンティティを持っている

ナショナル・アイデンティティというのは良いことだが、ありすぎたら理性が足りなくなって、さらに、ある企業家は「習慣的な」ナショナル・アイデンティティを持つようになり、または口ばかりのナショナル・アイデンティティになる。そのように義と理のアンチノミー(矛盾)になるのだ。実は、理性的な考えは、夢や願望、思いなどを邪魔しない上で、さらにそれらの理念が実現される力になるのだ。

 

六、中国の企業家は、「動と静」が補い合うことにバランス感が足りない

中国の企業家は皆「動」と「静」の間に、バランス感が足りない。大部分の企業家たちは「動」の姿勢をメインにしている。具体的に言えば、マーケット、政府、お客さん、ソーシャルとの交渉に活躍している。しかし、「三現主義」(企業内の現実、現場、現物)での活躍が足りない;その一方、他の企業家は「静」の姿勢をメインにし、伝統文化や宗教文化に夢中して、または、ただの理論面にとどまり、どう徹底するのかの指導と行動が足りていない。だから、中国企業家たちは「動」と「静」の結び合わせに工夫をしなければならないのだ。

 

以上の肖像画は、必ずしも正確ではないが、もっとも正確な、照らし合わせられる標柱が立たれているのだ。彼は日本の「経営の聖人」、稲盛和夫だ。

 

関彬、2016年4月10日、青島にて

 

 

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