任正非:あなたは本当の稲盛さんを分かっていないのだ!

任正非:あなたは本当の稲盛さんを分かっていないのだ!

作者:王育琨
引用元サイト名:「你真不了解稻盛和夫!」
URL:http://www.sohu.com/a/121974737_567016
日時:2016-12-19 14:42

張 心怡  訳
松村 淳 構成

 

著者:王育琨

ビジネス哲学者、マネージメントとエムアンドエーの専門家
清華大学長三角研究員中国企業家思想研究センター主任
グローバル・エムアンドエー研究センター学術委員
山東大学経営管理学院、南京航空航天大学経営管理学院 特任教授
企業・グループの顧問

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中国経済成長率は、二桁から一桁になり、その不景気の中で伝統企業は大きな衝撃を受けている。ある企業は、製品をレベルアップしなければならない転換点に臨んできて、商品のイノベーションが大きな難関になっている。ある企業は「インターネット+」の誘惑を受け、何回も資金と人材をそこに投入したけれども、モバイルインターネットの「急行列車」に乗れなかった。経済が不景気な時期、企業家たちはどうやって企業経営を行うのか分からなくなったのである。

困窮地に陥った企業は、一体どうすべきか?最近企業家と話をしていた時、彼らはきまってそういう問題を投げかけ続けた。それを見た私は、ファーウェイの任正非さんと対談したことを思い出した。

それは二年前のことだった。任正非さんは北京のあるホテルでアフタヌーンティーに誘ってくれた。私たちは、稲盛和夫さんのことを話し始めた。最初私はこう言った

 

「今ここ(中国)では、稲盛哲学を学ぶブームが起こり、企業家たちは社員に稲盛哲学を学ばせ、仕事の態度を変えさせている。社員の潜在力を掘り出すことで、たくさんの仕事をしてほしい、少なめに給料は要請してほしいと。人々は稲盛さんの「道具」や「術」に関心を払い過ぎて、逆に稲盛さんの「シンプルな本質」に深刻に考えられなかった。なぜ精密セラミックスのメーカーが、グローバル・フォーチュン500の会社を三つも作った奇跡に、皆さんが深く掘り下げて考えなかった……」

 

任さんは、「王先生、あなたは稲盛和夫のことを分かっていない!」と私の話しをすぐ遮った。私はぽかんとした。そして微笑んで、「任総(「総」は総裁の意味)、私はどこが間違っていたのか?」と聞いた。

任さんはこう述べた。

 

「今、『なぜ精密セラミックスの会社が』と言っただろう、それは軽すぎるのだ!稲盛さんがやっている精密セラミックスは、電子セラミックスなどの機能があるセラミックスで、精密医療機器や電子機器の核心的なパーツであり、将来にもその需要が見込まれているのだ。セラミックスと言うなら、京セラは世界で一番だ。京セラはある新材料革命を実在に推進していて、先駆者の役割を果たしている。それは通信業界とインターネット業界の発展を大きく押し進めるのだ。彼らは何十年も日々精進していて、世界のナンバーワンにもなった。私たちはただついていくだけだ。ファーウェイは世界一流の数学者をスタッフとして有しているが、彼らは世界一流の化学者と物理学者を有している。私たちは彼らに追いつけないのだ!」

 

この話を聞いて、本当に「醍醐灌頂」のようだと感慨した。任正非と稲盛和夫は、二人とも皆がやるような流れに従わなかったのだ。彼らは自らの上にある土を押しのけて頭で広げ、各自の分野で自分の青空を手にするようになった。

彼らが知っていること、それはすべての精神、理念、良いアイディア、創意工夫は、必ず物質的な商品というモノに搭載されるからこそ、存在する、そうでなければ、ただの虚しい空想に止まるだけだ、ということだ。

企業家は空想なんか話さない。彼らは社会変革を実際に推進できるのだが、単なる思想ではなく、彼らの「十八番の商品」を通してだ。そしてその商品を極める中で現れた精神と価値だ。本当の企業家は、抱元守一(根本を抱き、一を守り、雑念から正気を守ること)、一心不乱、全身全力で、唯一無二の商品を作るのだ。それこそは彼らの行く道である。

彼らは「説」は軽く見て、商品を磨く時の一瞬一瞬の精進を重んじる。そこは原点であり、終点でもある。しかし怠け者は、言葉遣いや概要しか知らないのである。結局、商品という考えがモノになることを諦めて、説が説として止まってしまうのだ。口で言うばかりで動かない、長くそうすると、やがてペテン師になるのだ。

任正非の話は、聞くだけで心は満足だ。それは彼の方法論であり、彼の知行合一の道だ。

人々は得意技で立身出世するが、企業の場合はいい商品で高収益を実現する。人間、その人自身も唯一無二な得意技が、企業においては唯一無二なそのモノとなるのだ。

哲学、心の考え方、理念などは、一人、または一つの団体が「十八番」という商品を鍛える時の重要な宝物だ。しかしその宝は一旦、「十八番」や「モノ」という運び手を捨てるなら、何の意味もなくなるのだ。

もし知行が一致しないなら、未来がないのだ。ただ考え方を学ぶだけには、竹かごで水をくむことのようだ。企業家が世界的なイノベーションを推し進めるのは、商品を極めることで実現するのであって、決して考え方で実現するではないのだ。

任さんが与えた一喝によって、私は自分と世の中の人々の中身をはっきり見えるようになった。

まずは企業環境に対する認識だ。企業は一つの身体か、一つの家か、または戦う団体か?この性質が違う二つの環境は、全然違う運行の法則を有しているのだ。

もし仮に企業が「家の文化」を作るなら、社員はどんなに怠けても、家の一員だから、リストラしてはいけない。しかし、もしどんなに怠けても、さらに告げ口をするような人でも処分しないなら、地道に真面目に仕事をする人にとっては面白くないことだ。このような不満が多くなれば、この団体は競争力を期待できなくなる。

また、企業は高地を占領することを目指して戦う団体のようだ。すべてはお客へ送る最終的なモノに責任を負う。もしこの最初と最後の標準を失ったら、企業は必ず命運が尽きるのだ。

次は、「国学ブーム」(中国の儒家などの古典学問のブーム)の疲れと弱い姿勢が分かった。人として、仕事としての基本的な品質は何なのか皆は口では言うが、効力のある「十八番」の商品に、皆は時間や精力をかけていないのだ。あなたはいい、私もいい、しかしお客さんだけに申し訳ない。そのようにして、最終、自分の存在の価値も消されるという結末を迎えるのだ。

ファーウェイは「お客さんを中心にする」ことをすべて選択の最終基準に位置付け、絶対にそれをぼかしたりしないのだ。

リビア戦争時期、リビアに駐在するファーウェイ首席の代表の夏尊さんは、ファーウェイの現地チームが戦争の時、装備を背負って、前線に進み、設備を突貫修理したという経歴を振り返って、「(その時)ファーウェイ人はすべて業務のみ考えた。業務はアヘンのように私たちを駆使してくれた。」と語った。

また、ある企業家は、目の中にはお金と企業の規模だけがあるが、口には「仁義道徳」などの国学ばかり言っている。

昔は彼らをどう呼ぶのか分からなかったが、今回任氏は簡単に直接に、彼らはえせ君子であり、ペテン師であると言った。

企業家の本職は社員をリードして良い商品を作り、その「得意技」で大衆に娯楽と利益をもたらすことだ。良い商品を出せない、その代わりに、ネタや言葉遣いで大衆を楽しませるというのは、道に合わせないのだ。それでは本末転倒である。自分は寝ているが、寝ていないふりをしているというのは、実際、皆はっきり分かっている。任氏の考え方はすごく強い衝撃力がある。それは中国の知行合一の脈を受け継いでいるのだ。

あなたはあなたの「十八番」を持ちたいのか?あなたは本当に唯一無二な人になりたいのか?さらばあなたはその根性を守ろう!根に戻り、命の元に復帰し、真と常を守れるなら、自分の元を守ったことになる。そうすることで自分の「十八番」を守れるのだ。そうしたら当然、魂のある十八番を手に入れるようになるのだ。

ただし、人は怠けすぎ、天の邪鬼で、安易で気持ちのいいことに流れるものだから、きびしく精進することを嫌うのだ。結果として怠惰という「獣」が放ち出され、初心の誓いと最終目的が放置され、荒れてしまうのだ。一つの会社の「十八番の商品」が荒廃しているなら、会社は怠惰のとりこになる。その時、死が来るのだ。

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