稲盛和夫:物事の両極を兼ねる

稲盛和夫:物事の両極を兼ねる

作者:关彬(関彬)
引用元サイト名:「真正的“用人”」
URL:http://blog.sina.com.cn/u/2958634591
日時:2017年4月24日

 

張 心怡  訳
松村 淳 構成

 

作者:关彬(関彬)

中国稲盛和夫哲学重要な推進者、自由学者。
中国企業研修の分野における稲盛哲学の提唱者と実践者
グローバル・フォーチュン500で20年越えの上級管理層の勤め歴
清華大、北京大、東北大、石油大など大学の特任教授
『商業評論』、『中人網』など雑誌のゴールデン・コラムニスト
長期的に稲盛哲学の研究に取り組み、『ドラッカーから稲盛和夫』などの著作を有している。

 

稲盛和夫さんは典型的な「物事の両極を兼ねる」産業界のリーダーである。彼の哲学にも、彼のリーダーシップの風格にも、物事の両極を兼ねることが特別に言及されている。

何が物事の両極なのか、それはつまり物事が対立のまま統一される中にあって、その対立の両面のことだ。稲盛さんによれば、この二つの極端を兼ねるのは、「中庸」(片寄らず中正なこと)ではないのだ。絹を織りなす糸のように、縦糸があれば、横糸もある。この両極は矛盾ではない。それだけではなく、両極は補い合って物を作り上げるのだ。稲盛さんは、最初のごろからこの両極を備えることは難しいというのだ。しかし日常仕事の中で、色々な場合で、自分を磨く意識を持つならば、この両極は同時に備えられるようになるのだ。

では稲盛さんに現れている「両極」とは何なんだろうか?

 

人格にバランスを取る

「人格にバランスを取る」というのは、一方、物事に対していつも「なぜか?」を聞くことで、ロジックと理性に拘り、物事の真実を明らかにすることを追求することである。他方、人情味に富んで、誰とでも仲良く付き合え、人格の魅力を持つことでもある。つまり、科学的な、厳密な理性と活発な豊かな感性は、どれでも欠かせないのだ。しかもどちらにも偏らないものだ。必ずバランスを取るということだ。

 

 

 

大胆と細心

大胆だからこそ、事業を前向きに推し進める力を持つのだ。細心だからこそ、失敗を防ぐことができる。大胆と細心が相互に使われるから、それぞれの働きがより一層発揮される。大胆が必要とされる時には大胆を、細心が必要とされる時には細心を。具体的な状況によって、性格の特徴を臨機応変に転換するのだ。性格がやさしいと皆に称賛される企業家は、会社の業績がよくないのが普通なのだ。

もしずっと「イエスマン」だったら、企業は大きな事業を成し遂げられない。もし社長は社員に「冷酷極まり」と評価されたら、権威を失うのだ。だから、企業家として、大胆と細心両方を備えるのが大切である。

唯物と唯心

唯物というのは客観的な規則を尊重することで、事実で証明することである。唯心というのは心の働きを強調するものである。稲盛さんは科学者でもあり、彼の科学研究の中でも、唯物と唯心とは弁証法的に統一されている。例えば、松風工業で就職していた時に、彼は世界に驚かせた発明をした。客観的な物事を尊重すると同時に、稲盛さんは、それが宇宙を感動させたから、知恵をもらったと思っている。稲盛哲学の中にある「致良知」は陽明心学が「稲盛化」された現れだと言えよう。稲盛さんはさらに「心を高め、経営を伸ばす」ということを提唱し、「心」と客観的な世界が弁証法的に統一できることを明らかにしたのだ。

 

菩薩の心と霹靂な手段

稲盛さんは、社員の満足度を第一位に置くべきであると提唱している。社員の満足度を上げることによってお客さんの満足度も上げられるのがベストな方策だと思っている。だから、稲盛先生は、真心で社員を心遣いしているのだ。彼は『リーダーの資質』、『リーダーの役割10ヵ条』や他の演説において、何回も社員と部下を心遣いすることが大事だと言及している。さらに「愛情を持って部下と付き合う」ことを強調した。思いやりは前提だが、稲盛さんは「雷鳴のような手段」を持っている。彼の「三現主義」(現時、現場、現物)や、管理層を「痛めつける」ことや、「小善は大悪に似たり、大善は非情に似たり」のスタイルには、彼の霹靂な腕前が現れている。

 

自由闊達 と 折り目正しくする

稲盛さんは極めて自由闊達で、イノベーションの考え方を持っている人だ。彼は三つのグローバル・フォーチュン・500の企業経営に成功して、イノベーションの考え方が隅々に行き渡っている。どこでも自由闊達な考えが見えるのだ。同時に、稲盛さんが仕事をする時は、釘は釘で、「ほぞ」は「ほぞ」で、折り目正しくしているのだ。それらは互いに矛盾していそうだが網のように互いに織りなしていて、きわめて強い「安全網」をつくることを成し遂げたのである。

処女の如く、脱兎の如し

稲盛さんはじっとオフィスに座り込む人ではない。お客さんのところを訪問しているのではなければ、現場で社員とコミュニケーションを取っているのだ。またはオフィスで考えるのだ。彼は静かが好きだから、たくさんの経営関係の書籍、文章、哲学を書き出したのだ。彼は動くのが好きだから、各段階の社員、末端のこと、変化のことが分かるのだ。そのように、見て知る、見通す、最後見抜くまで達成するのだ。

 

利潤を求め、利他の経営を行う

稲盛さんは、公明正大に利益を追求すると言ったことがある。同時に、彼は利他の心で経営を行うことも強調している。この両者は、少し矛盾しているように見えることだろう。しかし稲盛さんは、公明正大に利潤を求めることと利他の心で経営を行うことは矛盾してはいないと思っている。利潤があるのはイコール利他のことだ;利他を行ったら、逆に経営を促し、そしてもっと利潤が取れる。それは「良循環」だ。

アメリカの作家スコット・フィッツジェラルドのある名言を紹介しよう。曰く、知性のある一流の人は、同時に二種類の対立の考え方を有しているが、それぞれの役割を正常に働かせるのだ。稲盛さんもそうだ、私たちもそうすべきだ。頑張りましょう!

 

関彬、2017年4月24日、青島で

 

 

稻盛和夫:兼事物的两极(关彬)

 

関彬

(2017-04-24 16:23:57)

 

稻盛哲学实践家的博客

 

稻盛和夫老先生是典型的“兼顾事物两级”的商界领袖,他在他的经营哲学中,以及他的领导风格中都特别提到要兼顾事物的两极。

 

什么是事物的两极,也就是事物对立统一的两面。按照稻盛先生的理解就是:兼备这两个极端,并不是“中庸”。这好比织成绸缎的丝线,有经线有纬线,这两极不仅不矛盾,而是相辅相成。稻盛认为,一开始就具备这样的两极很不容易。但只要在日常工作中,在各种场合下,有意识地磨练自己,这两个极端就能同时兼备。

 

体现在稻盛先生身上的两极有哪些呢?

 

均衡人格

所谓“均衡的人格”,一方面,对待事物都要问一个“为什么”?讲究逻辑和理性,彻底追求和探明事情的真相。另一方面,又要富于人情味,与任何人都能友好相处,这是人格魅力。换言之,科学严谨的理性和丰富活跃的感性缺一不可,且两者皆不可有所偏颇。必须保持均衡。

 

胆大心细

因为大胆,就能有力地推动事业向前发展,而因为心细,就能够防止失败,大胆和心细交互使用,相得益彰。需要大胆时大胆,需要心细时心细,根据具体情况,灵活转变性格特征。被交口称赞性格温和随和的企业家,其公司业绩往往不理想,如果总是“好好先生”的企业家,是无法成就大事业的;如果被员工评为“极度冷酷”,那又会丧失威信。因此,作为企业家,具备胆大心细是多么重要。

 

唯物唯心

唯物就是尊重客观规律,以事实说话;唯心就是强调心的作用。稻盛和夫有科学家身份,在他的科学研究中也是唯物唯心辩证统一的。比如,他就职松风工业时震惊世界的发明,是尊重客观事物的,同时他认为是感动了宇宙才获得的智慧。在稻盛和夫的哲学中,“致良知”是阳明心学的稻盛化体现。稻盛先生更提倡“提高心性,拓展经营”,可见“心”与客观世界是可以辩证统一的。

 

菩萨心肠 霹雳手段

稻盛先生倡导员工满意度应该在首位,通过提升员工满意度来提升客户满意度才是最佳途径。所以,稻盛先生的风格是真心关爱员工,他在《领导者资质》、《领导者的十项职责》和其他讲话中多次提到要关爱员工和下属。甚至强调要“怀着爱情与下属交往”。关爱是前提,稻盛先生又极具雷霆般的“手段”。通过他的“三现主义(现时、现场、现物)”,通过他“折麽”干部,通过他“小善似大恶 大善似无情”等风格足见其“霹雳”功夫。

 

天马行空 循规蹈矩

稻盛先生极具天马行空般的创新思维,他成功操盘三家世界500强,处处是创新,是他“信马由缰”的思维。同时,稻盛先生做事又钉是钉卯是卯,极具规矩。看似矛盾,但像网格一样交织在一起,成极其强大的“安全网”。

 

 

 

静若处子 动若脱兔

稻盛先生不是死坐办公室的人,要么在客户那里拜访,要么在车间与员工交流,要么是在办公室思考。他因为静,所以,产出那么多关于经营的书籍、文章和哲学;他因为动,所以了解各级员工,了解基层,了解变化,做到从洞悉,到洞见,到洞察。

 

追求利润 利他经营

稻盛先生说:要光明正大地追求利润。同时,他又强调利他经营。这两者,好像也有些矛盾。但稻盛先生认为,光明正大地追求利润与利他经营不是矛盾体。有了利润,也是利他;有了利他,反过来促进经营从而取得更大利润。这是正循环。

 

美国作家斯科特.菲杰拉德有句名言:一流知性之人同时拥有两种相互对立的思维方式,却能使其各自正常发挥作用。稻盛先生如此,我们也应该如此。努力吧!

 

关彬,2017年4月24日于青岛

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